JR鶯谷駅の北口を出たにぎやかな通りのすぐそばに、ふっと空気が変わるような落ち着いた空間があります。それが「元三島神社」です。境内へ入るには西側から少し回り込む必要があります。
アクセスは抜群で、日比谷線・入谷駅からも徒歩圏内。思い立った時にふらっと立ち寄れる、そんな立地が魅力です。
鎌倉時代から続く由緒ある神社

元三島神社の創建はなんと鎌倉時代中期。伊予国(現在の愛媛県)の武将・河野通有が、戦勝祈願のために地元の大山祇神社に参拝し、その加護を受けて勝利したことがきっかけとされています。その後、夢での神託に導かれ、上野山に分霊を勧請したのが始まりです。
江戸時代には幕府の命により社地が移転され、今の台東区根岸の地に落ち着きました。地元の人々の思いから熊野社と合祀され、神社名には「元」の文字が残されています。
山と海の神・寿老神も祀る

ご祭神は「大山祇命(おおやまづみのみこと)」。山と海を司る自然の神様で、古来より人々の生活に寄り添ってきた存在です。また、元三島神社は「下谷七福神」のひとつとしても知られ、寿命や健康長寿を司る「寿老人」もお祀りされています。
七福神巡りのスタート地点や立ち寄り先としてもぴったりです。
高台にある社殿と見どころいろいろ

石段を上がった高台にある社殿は、1976年に建てられたもの。モダンな造りのなかにもどこか落ち着きのあるたたずまいで、静かな雰囲気に包まれています。
境内には個性的な表情をした狛犬や、俳人・正岡子規の句碑も。見どころは小さいながらも豊富で、歴史と文化を感じられるスポットです。
同名神社との違いを知るのも楽しみ
台東区内には「三島神社」「本社三島神社」など同じ名前の神社が複数ありますが、これらはもともと一つの神社が時代を経て分かれたもの。元三島神社はその「元」としての由来を持ち、地域の歴史を語る存在でもあります。
時間があれば、ほかの三島神社とあわせて巡ってみるのも一興です。
花手水スポットとしても有名

元三島神社は都内指折りの花手水スポットとしても有名。
毎月月初ごろに花が入れ替えられ、1年を通して花手水が行われています。
花が傷む可能性があるので、花手水を見たい方はなるべく入れ替え後すぐに参拝するのがおすすめです。
最新情報は公式インスタグラムで更新されているので、おでかけ前にぜひチェックしてみてください。
おわりに
鶯谷というアクセス良好な場所にありながら、落ち着いた空気の中で歴史や文化にふれられる元三島神社。大きな神社のような華やかさはありませんが、だからこそ、自分のペースで歩き、感じることができます。
歴史ある神社にふらっと立ち寄りたい日や、静かなおでかけ先を探している方におすすめのスポットです。